トイプー

愛犬といつまでも楽しく暮らすために、愛犬の健康管理は欠かせません。

毎日飼い主の皆さんはワンちゃんの体調に気を配っていると思いますが、気づかないうちに進行してしまう疾患もあります。

今回は、健康診断を受けることの大きなメリットについてお話します。


犬にも健康診断は必要です

ほとんどの人が、少なくとも年に一度は健康診断を受診していると思います。中年を過ぎたら自分から進んで人間ドックを受けたりしますよね。

なかには定期健康診断や人間ドックで病気が見つかった人もいるでしょう。人間にとっても、ワンちゃんにとっても健康診断の一番の目的は病気の早期発見です。

家族の一員であるワンちゃんにも健康診断が必要な理由はこれだけでもおわかりいただけると思いますが、実はワンちゃんには、人間以上に健康診断が必要なのです。

その理由は以下の3つです

  • 犬は自覚症状を訴えられない
  • 加齢速度や病期の進行が速い「人間の1年は犬の4年」
  • 獣医さんに慣れていないと治療がうまくいかない

健康診断を受けていれば防げる3つの不幸

犬

飼い主さんは、愛犬のことを自分の子どもや配偶者以上によく知っていると思っているかもしれません。しかし、人間と犬との大きな違いを忘れていませんか。

ある調査では、ペットを動物病院に連れて行くのは明らかな症状が出てから病院に行くケースが大半で、その後半年未満で亡くなるペットが5割以上。健康管理や通院が遅くなった事を後悔している飼い主さんは6割以上だそうです。[注1]

[注1]Team HOPE: 2017年ペットの健康管理に関する実態調査[pdf]

1.「犬は自覚症状を訴えられない」から気がついたときには手遅れに

人間でも重大な疾患の初期症状はわかりにくいものです。なんとなくだるいとか、疲れやすくなった、という症状をワンちゃんは飼い主さんに言葉で伝えることができません。

お散歩に行きたがらない、寝てばかりいるという症状があっても、高齢犬であれば、「歳のせい」にしてしまうでしょう。

犬の3大死亡疾患は「がん」「心臓病」「腎臓病」です。
どれも早期発見、早期治療で進行を遅らせることができます。しかしこれらの病気は、検査をしなければ初期にはわからない事がほとんどです。

「しこりがあって触ると痛がる」「息が荒くて歩くのもやっと」「おしっこが出なくなった」など、飼い主さんが明らかにおかしいと判断できるような段階で来院されても、もう手の打ちようがありません。

2.「人間の1年は犬の4年」“様子見”は危険です

犬の寿命は犬種にもよりますが、人間の寿命よりもはるかに短いことは残念ながら事実です。

一般的に「人間の1年は犬の4年」と考えてくださって構いません。加齢が速いということは病期の進行も早いのです。このことからも早期発見が重要なのです。

たとえば人間が1年に1回健康診断を受けるなら、ワンちゃんは年に4回の健康診断をする必要があります。

ワクチン接種のタイミングで十分と思っている飼い主さんも多いと思いますが、ぜひ「人間の1年は犬の4年」という事実を思い出してほしいと思います。

2-1.素人判断は危険な「様子を見る」こと

人間の場合だったら、「少ししこりがあるけれど、様子を見ましょう」、と4年間も放置する人はいないでしょう。

ワンちゃんの身体に今までと違った様子があって「様子を見る」ことはよくあることかもしれませんが、人間に置き換えると、4年間放置することと同じなのです。

これがいかに危険なことかはおわかりになると思います。素人判断での様子見は時には不幸な結末を招くことになりかねません。

2-2.飼い主さんは愛犬の老化を受け入れられない

飼い主さんは、ワンちゃんをいつまでも自分の子どものように思っていて愛犬が確実に老犬になっていることを受け入れられない傾向があります。

例えば、たまに顔を出す家族などがワンちゃんに対して「〇〇ちゃん、ちょっと歩きにくそうだね」「前みたいに遊ばなくなったね」という言葉を「そんなことはない、気のせいよ。〇〇ちゃんのことはわたしが一番よく知っているんだから」と否定していませんか。

人間には自分にとって不都合な事実を目の前にしても、それを打ち消したり、見なかったことにするという防衛反応があります。

これは誰にでもあることで、そのことがいけないわけではありません。ですが、思い込みが病気の早期発見を遅らせることもあると注意しておきましょう。

3.獣医さんに慣れていないと治療は大きな苦痛になる

ワンちゃんの性格によっては、人見知りで動物病院の近くを通るとうずくまって歩かなくなったり、白衣の人を見ると怖がる子もいます。

確かに知らない人に押さえつけられて痛い思いをするワクチン接種の嫌な思い出ばかりでは、病院嫌いになっても仕方がないと思います。

しかし、嫌がるからと言って動物病院に必要最低限しか行かなかった場合、いざという時に大変困ることになります。

まず、病気の早期発見は難しくなりますし、たとえ飼い主さんが気づいても、治療時のストレスはワンちゃんにとって耐え難いものとなります。

病状によっては手術や入院が必要な場合もありますが、精神的なショックやストレスは病気の回復に大きな影響を与えます。ワンちゃんや飼い主さん、病院スタッフにとっても不幸な状況です。


定期的に健康診断をするメリット

柴犬

犬にも健康診断が必要なことがおわかりいただけたと思います。

しかも、人間に比べて加齢速度の早いワンちゃんたちには年に1回では少なすぎます。季節ごとに定期健康診断を受けるのが理想的です。

定期的な健康診断の第一の目的は病気を早期に発見して早期治療につなげることです。

その上、定期的にワンちゃんを診察することで、血液検査やレントゲンなどのお金がかかる検査にも劣らない情報を得ることができます。

いつものワンちゃんの状態を共有できる

毎朝体重や血圧を計っている人は多いのではないでしょうか。鏡を見て、「今日はあまり顔色が良くないな」などと自然に判断しますね。それは、自分なりにいつもの状態を把握しているからです。

愛犬のいつもの状態は、もちろん飼い主さんがよくご存知ですが、獣医さんはワンちゃんの状態をさらに専門的な視点から見てくれています。

診察室に入ってくる時の足取り、臭い、表情など、いつもと違えば注意して診察します。診察台に乗ってからも、鼻の先から足の爪まで、体中の様子を観察します。

毎日一緒にいる飼い主さんが慣れから見逃している変化を専門家として気づくこともありますし、そのワンちゃんをずっと診ていれば、一般論では見逃してしまうような変化にも気がつくでしょう。

例えば、肥満気味だったワンちゃんが適正値以内の体重に減っていた場合、数値的には問題なくても「どうして痩せたの?」という会話が飼い主さんと始まりますね。

「減量用のフードに変えたら、喜んで食べてくれておかげ様で痩せました」という場合なら問題ありませんが、「この頃あまり食べなくて」ということならば原因を考えなければなりません。

いつもの状態を飼い主さんと獣医さんが共有することで、病気の早期発見やよりよい治療方針が判断できるのです。

ワンちゃんの動物病院に対するストレスが減る

たいていの動物病院では、診察後のご褒美にワンちゃんに「おやつ」を用意しています。

頑張ったご褒美に飼い主さんや動物病院のスタッフからたくさん褒めてもらって、おやつまで貰える経験を重ねると、どんな人見知りのワンちゃんも動物病院に行くことを嫌がらなくなります。

これは、いざという時にとてもありがたいことです。人間でも知らない人に囲まれて治療を受けるのは心細いものです。治療時のストレスは動物の場合、回復までの時間だけでなく、時には命にも関わります。

愛犬の健康診断が大切なことは分かっているけれど…。という飼い主さんに健康診断を定期的に受けていただくメリットについてお話してきました。

3大疾患だけでなく、熱中症や感染症など、はじめは「ちょっと元気がないかな?」程度から急激に悪化する怖い病気もあります。

飼い主さんもワンちゃんのことを日頃から気軽に相談でき、躊躇なく受診できる関係を獣医さんと築けていれば安心です。健康診断がそんな関係のきっかけになると良いですね。

猫は本来体臭の薄い動物です。いつもと違う口臭を感じたら病気を疑ったほうが良いかもしれません。

この記事では愛猫のお口の臭いが気になるときに、考えられる病気とその対処法を解説いたします。


いつもと違う口臭なら注意

猫は基本的に臭わない動物です。野生の猫の仲間はハンターですから、獲物に自分の存在を知られないようにするために体臭が少ないのです。

そんな猫ですから、基本的にあまり口臭を感じないはずです。毎日のスキンシップでいつもと違う口臭を感じたら注意したほうが良いかもしれません。

「猫の口は生臭い」とよく言われるのは、昔の猫は生の魚やネズミなどの生肉を食べていたせいです。キャットフードを食べている室内飼いの猫の口臭が生臭い場合は病気を疑ったほうが良いでしょう。

口臭が発生する原因としては、大きく口腔内の病気と全身疾患に分けられます。


口臭の原因となる代表的な口腔内の病気

実は猫には口の病気が多いのです。以下できつい口臭を引き起こす代表的な口腔内の病気を3つご紹介します。

1.歯周病(歯肉炎)

3歳以上の猫の8割は歯周病と言われています。

キャットフードなどのカスが歯に付着したまま、体調の変化などで唾液の量が減ったり、Ph値が変わると口腔内の細菌が増えて歯垢ができます。

その歯垢が歯石になると、歯石から歯肉や歯茎に細菌が入り、炎症(歯肉炎)を起こし、口臭の原因となるのです。

進行すると歯が抜けてしまうだけでなく、歯周病から体内に入った細菌が心臓病や腎臓病の原因になることも分かっています。歯周病になる前には口腔内の環境の悪化が必ずありますので、歯周病になる前に口臭に気づいてあげたいものですね。

歯周病になると、他にも

  • 歯茎が腫れる
  • 歯茎から出血したり膿が出る
  • 歯がグラグラして抜けてしまう
  • カリカリのフードを食べなくなる

などの症状が見られます。

2.口内炎(歯肉口内炎)

猫の口内炎は口腔内が広い範囲で腫れるので非常に痛がります。

人間の口内炎の外見とは異なりますので注意しましょう。口内炎の原因としては、栄養不足や以下で説明する全身の病気が挙げられます。

口臭以外の症状は以下のものがあります。

  • よだれが大量に出る
  • 食欲不振
  • 毛づくろいをしない
  • 口の中の腫れ
  • いつも口元を気にしている
3.吸収病巣

吸収病巣は、歯が歯肉に吸収されていく病気であり、歯に穴が空いたり、歯茎の肉芽組織が盛り上がって赤く見えたりします。原因不明の疾患ですが、進行すると歯がなくなってしまう場合もあります。

ひどい痛みを伴い、口臭以外にも食欲不振、よだれが増えるなどの症状があります。

お口の中を覗いてみてもさほどの汚れはないのに歯茎が赤く腫れている場合は吸収病巣かもしれません。


口臭の原因となる代表的な全身疾患

猫

猫の口臭は、歯周病の治療や口内炎の治療だけでは終わらない場合があります。

特に猫の口内炎の場合、全身性の病気が背後にあって、その一つの症状として口内炎がある場合が多いのです。なかなか治らない口内炎の場合は血液検査をして原因となっている病気を特定した方がよいでしょう。

以下で口臭を引き起こす代表的な全身性の病気を5つご紹介します。

1.猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)

猫エイズとは、猫免疫不全ウイルス(FIV)が原因で引き起こされる感染症のことです。

猫免疫不全ウイルス(FIV)は血液や唾液を介して感染されるウイルスで、感染後、無症状のキャリア期間を経たのち発症に至ります。

キャリア期間には個体差があり、10年以上も発症しないケースもありますが、発症してしまうといろいろな感染症にかかりやすくなり、口内炎は代表的な症状です。
他にも、

  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 貧血

などの症状が現れます。

猫エイズかどうかは血液検査でわかります。口内炎が発症している場合は全身状態も悪化しているはずなので、獣医さんの指導に従って治療しましょう。

猫エイズ自体は完治はしませんが、ウイルスの活動が弱まれば寛解状態になります。

2.猫白血病

猫白血病は、猫白血病ウイルス(FeLV)が原因となる感染症で、発症するとウイルスが骨髄の造血細胞を侵すので、

  • 貧血
  • 体重減少
  • 発熱
  • 食欲不振
  • リンパの腫れ
  • 口内炎
  • 下痢

などが現れます。全身状態が非常に悪化しますので、すぐに病院に行きましょう。猫白血病も血液検査でわかります。

3.腎臓病

腎臓病が進むと、体内のアンモニアが処理しきれなくなって口臭が強くなる場合があります。

他にも、

  • 水をたくさん飲む
  • 尿が多い
  • 尿の色が薄い
  • 嘔吐

などの症状もあります。

歯周病の細菌が腎臓に達して腎臓病になることも分かっています。

4.糖尿病

糖尿病になると、血液中にケトン体という物質が多くなります。ケトン体は独特の臭気を持っているので、口臭がひどくなります。

その他にも、

  • 急激に痩せる
  • たくさん水を飲む
  • 尿がたくさん出る
  • お腹が膨れる

といった症状があります。

5.巨大結腸症

巨大結腸症は、結腸にたくさんの便が溜まって排便できない病気です。

便秘が長期に渡って続くと、腸の中で細菌が増殖してしまい、便臭を伴う口臭がするようになります。

猫は排便したいのでトイレに入って排便の姿勢をとりますが、力んだ瞬間に吐いてしまうこともあります。

口臭がきつくて、何日も排便していないようならこの病気を疑いましょう。排便があっても固くて少量しか出ていない場合も動物病院に相談しましょう。


口臭の原因となる病気を予防するための3つのポイント

以上のように、猫の口臭には様々な病気の可能性があります。これらの病気を予防するためのポイントを3つご紹介します。

1.毎日自宅でお口のケアをする

猫の口

口内環境の悪化による歯周病、口内炎を防ぐために最も大切なのが、自宅でのお口のケアです。

嫌なものは嫌、という猫でも子猫の頃からお口を触ることに慣れさせていれば仕方なくお口を見せてくれることもあります。

口を触られることに慣れたら、ぜひ毎日歯磨きをしてあげてください。

ストレスなくお口の点検や歯磨きができるグッズや、歯周病対策のフードやおやつもありますので、市販のグッズも活用してみると良いでしょう。

2.定期的に病院で健康診断を受ける

口腔内の健康管理にとどまらず、感染用を防ぐためのワクチン注射、難治性の慢性疾患の早期発見のためにも定期的な動物病院での健康診断は欠かせません。

犬と違って、猫は届け出もワクチン接種の義務もありません。それだけに、病院での受診をついためらってしまい、病気の発見が遅れて、不幸な結果になるケースも多いのです。

完全室内飼いでも感染症のリスクはゼロではありませんし、運動不足が慢性疾患の原因になる場合もありますよ。

3.少しでも口臭が気になったら動物病院を受診する

少しでも口臭が気になった場合には、できるだけ早い段階で病院を受診すると良いでしょう。

病院を嫌がる子も多く、飼い主さんも受診のたびに大変苦労することはよくわかりますが、猫は犬以上に病気の初期症状がわかりにくい動物です。

ぜひ重大な症状が現れる前に病院を受診して、トラブルを未然に防ぎましょう。

口臭が気になって受診した結果、重大な病気が見つからなかったとしても、きっと動物病院のスタッフに日頃の口腔ケアについてアドバイスが受けられますよ。


毎日のケアと動物病院の受診が大切

以上、猫の口臭の原因となる病気とその対処法について解説しました。

愛猫といつまでも楽しく暮らすためにも、毎日のケアと定期的な健康診断を心がけ、少しでも口の臭いに違和感を感じたら「たかが口臭」と軽く考えずにすぐに動物病院に相談することをおすすめします。